『好色一代男』韓国語訳の出版!

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鄭灐(チョン・ヒョン)さんが韓国で『好色一代男』の翻訳を出版されます。

チョン・ヒョンさんは、日本文学研究者(主に西鶴研究)で、韓国ソウルにある檀國大学の日本研究所長をされて居られます。この日本研究所では多くの勝れた日本文学研究者を招いて学会やシンポジウムを開いていて、チョン・ヒョンさんは、その陣頭指揮に立ち、日韓の学術交流に大きく貢献されています。そのチョン・ヒョンさんが近々、韓国で『好色一代男』の翻訳本を出版されることになりました。

私はこの翻訳出版を心から待ち望んでいました。というのは、韓国における西鶴作品の翻訳には、あまり良いものがありません。特に『好色一代男』はいささか問題のある翻訳が多く、西鶴作品が誤解される原因を生んできたからです。

もう十数年も前になりますが、私が韓国のある学会で『好色一代男』と『九雲夢』(金萬重作、1687年成立。朝鮮時代を代表する恋愛物語)の比較論を発表したところ、会場のある先生から、勝れた文学的内容を持つ『九雲夢』と、そんな好色的な作品を比較してはいけないと怒られたことがありました(笑)

私は『好色一代男』が単なる好色作品ではなく、日本の江戸時代を代表する勝れた恋愛文学作品であることを強調しましたが、上手く伝わらなかったようです。そこで後から色々調べたところ、翻訳の問題があることに気付いたという次第です。今回のチョン・ヒョンさんの翻訳は、そうした点に十分配慮したもので、韓国における西鶴作品の誤解を解いてくれること間違いないと期待している、というわけです。

チョン・ヒョンさんの本に私の文章も少し載ります。チョンさんから何か書いて欲しいと言われましたので、『好色一代男』の文章の上手さについて説明をしておきました。更に、この作品を読んでいた人たちとは、江戸時代の上層町人で、彼らがかなりレベルの高い教養を身に付けていたことを強調しておきました。なお、チョンさんには、『好色一代男』の次には、ぜひ『男色大鑑』の韓国語訳を出版して欲しいと思っていますが、はてさて。

ご存知のように、韓国では日本文学の翻訳が盛んです。しかし、その逆は随分と見劣りします。先に名を挙げた『九雲夢』ですが、これもまともな翻訳がありません。あなたがやってみたら、と言われたこともありますが、底本とすべきテキストは、なかなか難解な漢文ですし、朝鮮時代の両班世界に対する深い理解が要求されます。私の力ではまだまだです。誰かやってもらえないかと周囲を見渡しても・・・うむ、居ないかも知れません。あと十年朝鮮文学を勉強して、その時まだ適任者が居なければチャレンジするかも知れません。

なお、上の写真は、チョン・ヒョンさんが、今から7年前に出した西鶴の『日本永代蔵』の翻訳です。適切な注が細かく施されて、韓国の方が読むのに実に分かり易い本に仕上がっています。今回の『好色一代男』も同じような水準に達するでしょう。出版されたあかつきには、ここでまた紹介させていただきます。






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