評判の「君の名は。」を見た。うーん、ちょっとねぇ。。。

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いま、ちまたで評判の「君の名は。」を見た。
妻と二人でシニア割引。なんと二人で2200円だった。普通だったら、一人1800円なのに。
得したというより、何か申し訳ない気持ちになった。。。

さて、その「君の名は。」はだが、評判通りの美しさ。ストーリィ展開もなかなか面白かった。
ただ、その美しさなんだけど、うーん、ちょっとねぇ。美しすぎるというのかしらん。見てて疲れてしもた。

美しい夕焼けや紅葉というのはめったに見られない。だからこそ美しいのだが、あんなに連続して出て来るとやはり噓くさい。地球とは別の惑星、そうイスカンダルのような気がした。もっと曇りや靄(もや)などのうっとおしさが欲しい。桜の時は花曇り、夏は梅雨寒、秋は冷(すさ)まじ、冬は波の花。そう言えば、虫や動物もあまり出てこなかった気がする。ネタバレするとまずいのであまり言えないけれど、動物たちは大丈夫だったのだろうか。

たぶん、これは私が歳を取ったせいと、昨今、川瀬巴水の作品をよく鑑賞しているからだろう。最初に掲出したのは「水木の曇り日」(初刷、茨城キリスト教大学図書館蔵)。茨城の漁村の一風景である。特に美しくもなく特徴のある場所ではない。今はほとんど無くなってしまったが、昭和初期にはどこにでもあった風景だろう。しかも、海なのに青くなく、波もない。また雨や雪でもなく、風のないどんよりとした曇り日である。漁村の磯臭さや生活臭がじわりと伝わってくる。

風景画は普通、その土地の特色を捉え印象的に描き出すものだ。しかし、この絵にはそうした発想がまるでない。ないばかりか、それとは真逆の、飾りを排して平々凡々に徹する姿勢がある。私はこの絵が好きだ。巴水作品の中でベスト5に入る傑作だと思っている。

ちなみに、今回の「君の名は。」に宮崎駿やジブリ作品を越える評価を与える人も居るらしい。しかしそれは早計だと思う。ジブリ作品のような多声性(ポリフォニー)が弱いと感じる。たとえば「もののけ姫」には、日本の南北を分断する広葉樹林帯と照葉樹林帯が描き分けられているが、そうしたミルフィーユのような複雑な厚さが「君の名は。」にはない気がした。

もちろん、一回だけしか見ていないので見落としている部分も沢山あるだろう。いずれもう一度見て、印象が変わればまたその時に感想を書きたい。



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