男色の第三の「場」は船上である、の説

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漫画家の大竹直子さんと電話で話をしていて、男色講座をやろうということで話が大いに盛り上がりました。

ラインアップするなら、漫画家や画家で男色をお描きの方々、興味をお持ちの方々、それから研究者側からは、江戸時代の我々(畑中千晶さん他、西鶴研究者)の他にも中世の稚児研究者や仏教研究者、はたまた近代の同性愛研究者なんて揃えたら、それは面白いでしょうね。

たとえば、その近代。。。

京都には関西性欲研究会という素晴らしい研究会があって、私も昔、何回か参加させていただき、発表したことがあるのですが、出張書類に研究会の名前が書きにくいことったらありませんでした(笑)。

主宰は、あの関西の柔らか文化人代表の井上章一さんです。この研究会にはその井上さんを始め、斉藤光さんや古川誠さん、三橋順子さんという歴戦のツワモノが揃ってらして、『性の用語集』(講談社現代新書)など優れて面白い本を出して居られます。

その中の古川誠さんは同性愛研究で広く知られた方ですから、彼などをお呼びしたら、これまた面白いでしょう。

とまあ、構想は膨らむのですが、さてどこでどうやってやるのか、これはなかなか難しいのです。朝日カルチャーセンターや、NHK文化センターじゃ、ちょっと無理でしょう。知り合いがいますから、聞いてみても面白いのですが、おいおいおい(柳沢慎吾)ですよね。

でも、面白い企画であることは間違いありませんから、何とか知恵を絞りましょう。

8月24日の西鶴研究会のことは、ここでお話ししましたが、その前にも私が青山学院大学で持っている授業に大竹さんとあんどうれいさんにゲストスピーカーとして来ていただく予定です(6月後半になると思います)。

残念ながら、大学の授業なので、一般公開はしていません。ごめんなさい。
でも、授業の中に潜られたら、分かりませんね。私も大学生時代、よく他大学の授業に潜りましたけど。。。

その授業でも話す予定ですが、男色には特定の「場」というものがあります。
男色というのは、反自然の文化(中沢新一説)ですから、そんじょうそこらで育つわけではありません。やはりそれなりの土壌というものが必要なんですね。今まで、その二大温床地帯として注目されてきたのが、戦場と寺院です。

戦場は武士、寺院は僧侶ですね。大事なのは両方ともに女人禁制という点です。

これに対して私は新説を出しておりまして、第三の場として「船上」、つまり船の上や中が想定できるだろうと考えているのです。

この「船上」も女性はほとんど居ませんね。もちろん小さな川船は別でしょうが、特に遠洋になど行くような大きな船に女性はなかなか乗せられない。やはり男だけの世界になります。ここで男色がはびこったわけです。

船を扱う海民に、男色が広がっていたことは別途分かっているのですが、なかなか資料がありません。とくに「船上」に関してはほとんど分からないです。ところが、一つ資料として、船絵馬というものがありまして、ここに当時(戦国時代から江戸初期)の船の様子が書かれています(船絵馬は船の安全な航行を祈願、またはそのお礼として神社仏閣に奉納されたものです)。

これを見ますと、面白いことに、若衆たちが多く乗っているのです。

最初に掲出した絵は、寛永十一年(1634)に末吉長方が京都の清水寺に奉納した船絵馬(模写)です。これを見ますと、若衆が多く乗っていて、また若衆にしなだれかかる怪しい男の姿も描かれています。

これが「船上」をリアルに再現したものなのかどうかはまだ分かりませんが、「船上」が男色をはびこらせる空間であったことを十分に示すものだと私は考えています。(なお、もう一つ、歌舞伎の芝居小屋というのも、そうした空間であったことは考えられます。が、歌舞伎は男の世界ではありますが、芝居小屋には女性も多く入りましたので、上記の三つに比べると、ちょっと弱いとは言えますね)

なお、これについては岩波書店の『文学』の2012年9月号に書きましたので、ご参照くださるとあらかたは分かると思います。


ただ、これは論文ですので、ちょっと読みにくいと思います。論文というのはどうしてこう硬くなってしまうのでしょうかね。
他の研究者から文句を言われないように、突っ込まれないようにと論理で固めて行くので、どうしてもこうなってしまうのですね。

いずれ、いままで書いた男色の論文を分かりやすい文体に直して、また新しいことも入れて本にしたいなと考えてはいます。

男色に興味のある方(つまり同士、アミーゴ、いやアミーガでしょうか)のご参考になれば、幸甚これ極まれりですぅ。



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