「西鶴はBLを書いたかというと首をかしげるけれど、西鶴をBLとして読むことはできる」(畑中千晶)-B&Bトークライブ報告(第二弾)

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B&Bでのトークイベント

「井原西鶴の『男色大鑑』と古典をコミカライズすること」

のご報告、第二弾です。

わたしの教え子で、こんかいの会場、B&Bのある下北沢に住んでいる橋本ユキさんが、当日駆けつけてくれました。彼女は、現在フリーライターとして活躍中で、シモキタを朝な夕なに徘徊している模様・・・。彼女から届いたメールの一部をご紹介します。

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こんばんは。
金曜日は楽しい時間をありがとうございました!

染谷先生、畑中先生、大竹先生、みなさんの愛と妄想(?)が暴走していく
姿を楽しく、懐かしく拝見しておりました。
そうそう、文学を研究するってこういうことがスタートだったよな、というか
事実を100%で確認することができない分野だからこそ
さまざまな切り口とそれの裏づけが錯綜していくんだよな、と再確認。
誰が何を思って作品を書いたか、それはどんな時代であっても一つの答えは
出ないということの面白さと可能性みたいなものを感じました。
権威的な研究に左右されずに自由な発想で新たな分野を
切りひらいていくこともできるんですよね。

BLという分野、同人誌というカルチャーをベースにした上で
西鶴を読んでいくこともできるんですね。
冒頭に畑中先生がおっしゃっていた
「西鶴はBLを書いたかというと首をかしげるけれど
西鶴をBLとして読むことはできる」というひと言が
その後の2時間の方向を示すものだったと思います。

同人誌カルチャーとしてのBLと、生身の人間としてのLGBT視点、
この辺りの意識の違いもあったりするのでしょうが
研究の間口が広がっていくのは面白いですね。
最近ですと、軍艦や刀剣を人間化してアニメにしていく作品もあり
間口の広がりと、それによる問題なんかも指摘されていますが
今までにない意見が飛び込んでくることで、変わっていくことも
あるのだろうと思いました。

昔から古い時代の文学を現代の感覚に置き換えていくことに興味があり、
今では立場の違う人の感覚をお互いに置き換えて身近に理解してい
ための手助けをしたいと思っている理由は、学生時代に先生の授業を
受けていたからなのかしら? なんてことを思いながらお話しを聞いていました。

個人的に興味があったのは、先生が西鶴の『男色大鑑』を研究すると言ったときに
周りから「就活のときに言えるのか?」と言われたというエピソードです。
この辺、就職情報のライターとしては採用担当者にヒアリングしたいですね
私の感覚としては、エントリーシートのそのことを記載したら
面接時のフックになって会話が弾むとは思うのですが……。
タイトルの印象で偏見を持ち、研究をしたという実績を無視するような
会社には入社しないでよろしい!と思ってしまいます笑。

久しぶりに大学の授業っぽい(それにしてはラフですが)ものに参加して
脳みその回路がリフレッシュされた気がします。

今回は楽しいイベントを行ってくださりありがとうございます。
また外部のシロウトが参加しても良さそうな企画がありましたら
お声をかけてください。
その他、お手伝いできること等あればそちらもお気軽に。

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さすが、ライターだけあって、ポイントを良く捕まえてます。

橋本さんの言うように、文学研究のスタートって、妄想の暴走ですよね。

「さまざまな切り口とそれの裏づけが錯綜していく」世界が文学研究。うん、いいなぁ、このフレーズ。
こんど授業で使ってみよう。

それにしても、畑中さんの、

「西鶴はBLを書いたかというと首をかしげるけれど、西鶴をBLとして読むことはできる」

これは至言ですね。でも何でだろう。西鶴の文学は優れているとか深いとか言えば、それで終わりだけど、そんな説明では納まりきらないものがありますよ、きっと。

ぼくは昔、現代人にとって西鶴作品で一番近づきやすいのは『男色大鑑』だと書いたことがあります。恋愛の持つ激しさや強さ、そして切なさがこの作品にはあふれているからです。

むしろ『好色一代男』や『好色一代女』の方が現代より遥かに遠い気がするんです。それは性愛が世界の中心だからです。。。心は二の次、皮膚感覚が第一の世界。。。

世界の中心で、SEXを叫ぶ! by世之介・・・。

西鶴の世界では、この性愛と恋愛が分離しかかっているのですが、そうすると、今回の『男色大鑑』のBL化は、それを繋ぎとめる、自然な形に戻す役割を果たしているのかも知れません。

今は昔、『男色大鑑』に対して、精神性ばかりが強調されていて、西鶴が本来持っている生々しさが描かれていない、という批判がありまして、それに対する批判を私もしたのですが、生々しさがないと批判された先生方は、今回のコミカライズを読んだらどう思われたでしょうね。

「これこそ西鶴!」 あるいは「『男色大鑑』の進化形!」 と言われたかどうか。
妄想は止まりません。













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