木版画の初版(初摺)と覆刻、その比較から見えて来るもの
(川瀬巴水「牛堀乃夕暮」覆刻、茨城キリスト教大学蔵)
巴水とその時代を知る会のブログに、木版画の初版(初摺*)と覆刻について載せましたので、ご興味のある方、ご覧ください。(*木版画の世界では、一般的には初摺と言います)
http://hasui.seesaa.net/article/456533508.html
江戸時代の浮世草子をはじめとする版本の世界でも、この初版、初印、後印、覆刻等の問題はなかなか面白いのですが、これが木版画になるとまた格別の面白さを生み出します。
浮世草子などの小説等の和本、また漢籍類(漢詩・漢文)ですと、版の新旧や前後というのは、美しさの観点とはあまり結びつきませんので、版の成立時期や過程という、かなり学問的な問題に収束することになります。
ところが、これが木版画ですと、その美しさは作品の鑑賞に直結しますので、様々な面白い問題を提起することになります。
これは浮世絵などの江戸時代のものに限らず、近現代に至っても同じでして、今回取り上げた川瀬巴水の木版画はこうした問題が沢山あります。
川瀬巴水をはじめとする新版画の版や版木については、まだほとんど研究されておりませんので、こうした「版」の問題の宝庫だと思います。
いま、巴水の茨城作品(26作)を中心に調査を進めていますので、また何か分かりましたら、ご報告をしたいと存じますが、他の県でもぜひチャレンジして欲しいと思います(巴水の木版画は700点ほどあります)。また、巴水はまめな方で、スケッチを残していますので、そのスケッチとの比較からも様々な問題が浮かび上がってきます。
巴水は全国津々浦々へ行っていますので、ご自宅やご実家の近くに巴水の訪れた場所があれば、版画を手にして、その場所がいまどうなっているのか、確かめられると面白いかと思います。
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