現代語訳『男色大鑑』始動!
(源義経のメンコ。前回のブログの「元禄若衆」と比較して欲しい。義経は「四万五千点」、元禄若衆は「七千万億兆点」。元禄若衆の点数が凄すぎる!)
さて、いよいよ『現代語訳 男色大鑑』が始動いたしました。版元は、最終的に決まり次第に公表いたしますが、西鶴関係の出版でずっとお世話になってきた編集者のいらっしゃるところでと考えています。よって、きっと素敵な本になると思います。今年の秋に出版予定、今後さまざまな情報をこのブログでも流しますので、よろしくお願いします。
それにしても、今回のNHK「生きた、愛した、ありのまま」では、様々なことを教わりました。その中でとくに大きかったのは、作品の朗読ですね。森川智之さんをはじめ、多くの声優さんの声に魅了されました。
そこで、改めて実感したのが、古典の現代語訳の大切さです。
普通、現代語訳というと、文学研究者の間では、原文と読者の間をつなぐものとして、媒介としての位置付けなんですね。大事なのは、原文に出て来る言葉を詳しく調査する、注釈の方にあるのです。現代語訳は二番目、三番目の位置付けなんです。
ところが、今回、声優さんたちの朗読を聴いて、ひとつひとつの言葉が活き返ってきた、いや生まれ変わってきた感がハンパないのに、いやはや驚きました。原作とはまるで別の、ひとつの〈作品〉になっている、と思いました。
そこで、思い返したのが、早稲田大学の梶原正昭先生のことです。
梶原先生は、『平家物語』をはじめとする軍記物研究でたいへん有名な方です。生前、何度かお会いしてお話をする機会がありましたが、たいへん物腰の柔らかく、言葉遣いの丁寧な先生でした。その梶原先生の授業を受けた学生から、よくこんなことをお聞きしたんですね。それは、先生が授業中に『平家物語』の朗読をされると、前にすわっている学生たちが感動のあまりすすり泣いていたと。
その時は、それはすごいなぁという印象だけで終わってしまったのですが、今から思い返せば、これはもっと大切にしなければいけない情報だったと思います。
振り返れば、日本文学の先生で朗読の上手い、朗読に力を入れている先生方は、その昔ずいぶん居られたと思います。万葉の犬養孝先生などがその筆頭でしたか。
https://www.youtube.com/watch?v=qT6l4teIZyw
そういう意味で言えば、今回の『現代語訳 男色大鑑』は極めて大事な作業だと思います。畑中千晶さんと、森川さんに朗読していただけるような作品にしよう、と僭越ながら申し上げたのは、そういう意味なんですね。
いま、和本リテラシーということが言われます。これは大切なことですが、現代語訳オラリティー、或いは、翻訳オラリティーと言ったら良いでしょうか。ここを私たちは忘れていたように思います。
それにしても、この「現代語訳」という言葉、どうも詰屈(きっくつ)で、いかんなあ。なんか堅苦しい。。。ほかに良い言葉はありませんかねぇ。
『腐訳 男色大鑑』『ショタ訳 男色大鑑』・・・ってわけにも行かないしね。
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以下の記事は、6月9日(土)の第三回・若衆文化研究会に参加される方への連絡です。
参加される方はご一読の上、ご確認ください。
「第三回若衆文化研究会にご参加のみなさまへ」
研究会が近づいてまいりました。
お会いできることを楽しみにしております。
なお、研究会、懇親会、ともに、万一ご都合がつかなくなった場合は、ご一報をお願いします。特に懇親会に出られなくなった場合は早目にご一報ください。
いま、東洋文庫のレストランに問い合わせをしておりますが、当日もしくは前日のキャンセルですとキャンセル料が派生する場合があります。
(キャンセル料が派生した場合は、申し訳ありませんが、後ほどご請求させていただくことになります。よろしくご了承ください。)
キャンセル料の細かい設定については、6月6日に分かりますので、このメールでご連絡いたします。
★なお、9日の当日、六義園の散策も予定しています。
六義園の正門に午前10時30分に集合としておきたいと思います。
入園料は以下のようになっています。
【入園料】
一般:300円
65歳以上:150円
(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)
20名以上の団体・一般及び中学生:240円
20名以上の団体・65歳以上:120円
もし、20名以上集まったら、一人240円になりますね。
http://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/teien/rikugien.html
ただ、問題は天候ですね。
9日の天気予報は曇り、降雨確率は40%です。うーん、大丈夫でしょう(笑)
一応、雨天決行、荒天中止としておきます。
改めて以下に散策と研究会のプログラムを載せておきます。
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日時:2018年6月9日(土)
午前10時半より12時まで
■六義園散策
12時~午後1時 近くのレストランで昼食
■研究会
午後2時より6時まで
場所:東洋文庫
(JR・東京メトロ南北線「駒込駅」から徒歩8分)
http://www.toyo-bunko.or.jp/
内容:
2:00 ご案内と説明(東洋文庫講演室)*上限40名
2:20 東洋文庫企画「悪人か、ヒーローか」参観(入場料900円)
3:30 お話:瀧下彩子、吉本たいまつ、大竹直子、染谷智幸(東洋文庫講演室)
①「東洋文庫の紹介と、中国のBL創作事情」
東洋文庫研究員 瀧下彩子
②「〈腐男子〉の状況についてー「腐男子にきく2」を出した頃-」
おたく史研究家 吉本たいまつ
③「『男色大鑑』と「歴史秘話ヒストリア」」
歴史・時代・BL漫画家 大竹直子
茨城キリスト教大学 染谷智幸
5:30 終了
6:00 懇親会(東洋文庫レストラン、会費5000円)
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