男色大鑑朗読芝居&クロッキー会、満員御礼、立ち見の方も!

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(紗久楽さわさんの絵を使っての案内板)

男色大鑑朗読芝居&クロッキー会、たいへん盛り上がりました!
満員御礼で、立ち見の方も出る始末、そうした方々には失礼をいたしました。
私を始め、関係者の席もゆずったため、終始立ちっぱなしになりました。少々、疲れましたが、ここちよい疲れでした。

すでにツイッターやブログにて、様々なご報告がありますので、ここで繰り返しませんが、上々吉の評判、ありがとうございました。
しかし、男色大鑑は外しませんね! 昨年のお祭り以来、全て満席満杯です。

いつまで続く修羅の道、いや銀色の道ぞ。。。

今回、色々なことを考え、勉強になりましたが、私の中でのナンバーワンは、やはりなんと言っても、劇の演出でした。

田村連さん。俳優であり、声優でもあり、ミュージカルのまさにレジェンドで、昨今は様々な作品の演出家でもいらっしゃいます。

その田村さんが、この男色大鑑をどう舞台化されるのか、興味津津でリハーサル、本番等を拝見させていただきました。

田村さんが取った方法は、舞台をぐるっと囲む円形の客席で、四本の行灯風の明かりを四方に立てての薄明り。その中心に赤い毛氈を敷いての能仕立ての演出でした。

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(夕の部の若衆役を務められたTOMさんと舞台)

この舞台設定を初めて見た時、鳥肌が立ちました。そして劇の成功を確信いたしました。

この形式は、四方八方からの視線の中で役者は演じなくてはなりません。背景がありませんから、すべては語りと所作で表現することになります。難しいようですが、実は、トーテムポール、神降ろしと同じでして、この形式が一番見る側の人間の、想像力を掻き立てるのです。

演者(役者)も360度の視線に晒(さら)されますから、指先から足の爪先まで視線の電流が流れます。最もトランス状態になりやすいのです。

ここに田村さんは、四方に行灯を配置すること、つまり舞台と観客の間に光源を持ちこむことで、不思議な舞台空間を作り上げました。

朗読芝居が終わってから、役者の方々にお聞きしたところ、舞台と観客の間に光源があるので、観客の視線を感じつつも、中心の舞台に立った時は、二人だけの空間に入る錯覚に陥ったとのことでした。ちょっと図示してみます。

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演者がBの位置に立った場合、そこは観客と最も一体化する場所です。しかし、Aの場所は、観客からは遠く、まさに神々しい世界となるのです。劇の最後に死んだ二人が手を取ってBの空間を浮遊し、そしてAの空間に入って二度目の死を迎えるわけですが、一度目の死とは全く違った死がそこにあったということになります。

いやはや、何とも、見事と言う他はありません。

大竹直子さんが、トークで、葉右衛門の死は悲劇的な死でなく、笹之介に愛されているという実感の中での喜びの死だという話をされましたが、田村さんの演出はまさにそれを視覚化させたもので、一度目の死は悲劇であったのですが、死んだあと観客の前を浮遊した二人が、再び舞台で死を迎える時は、愛し合った喜びの頂点での死となっているのです。

これは脚本を書かれた大竹さんと、演出の田村さんの意図と息がピタリと合ったからでしょう。

そして、そのムードを最高潮にまで上げてくださった田中奈央一さんのお琴、これが実に見事でして、和の曲だけでなく、最も盛り上げる場面で、ドビュッシーの『月の光』を用いてくださいました。

この曲、普通はもちろんピアノですが、琴の方が良いのではないかと思います。

そんなこんなで、劇が終わってから時間が経っても、一向に胸のどよめきは収まる気配がありません。
ど、どうしましょうか。

*トークイベント中にご案内した、青山学院大での拙授業ですが。。。
時間は、毎週金曜日(ただし七月中まで)の13:20-14:50、授業名「日本文学特講Ⅰ[6]」で、場所は940教室です。
教室の場所は、警備員さんにお尋ねを。。。
不明な点は、goku7788(あっと)gmail.com までご連絡ください。・・・(あっと)を@に変えてください・・・




この記事へのコメント

たかち
2019年07月01日 23:06
『男色大鑑』の朗読会、楽しませていただきました。
アンケートを出し忘れて帰ってしまい、ここに感想を書いています。
昼の部、クロッキー会込みで参加しました。

古典はやや、敬遠していました。
言葉遣いや文化が現代とだいぶ異なるので、難しいものだと捉えていました。男色大鑑 武士編を買って読みましたが、訳されているにも関わらず、登場人物の心情を想像するのが難しいと感じました。
今回、朗読劇とトークショーがあったことで、少しだけ古典の楽しみ方が分かったような気がします。
また、こう言ったイベントがありましたら、トークショーなどで解説していただけるとありがたいなと思います。
染谷智幸
2020年01月11日 10:42
早いうちからコメントをいただいておきながら、2020年になって気付くとは、まことに申し訳ありません。m/ーー\m
でも、いただいたコメント、貴重な内容ですので、若衆文化研究会のラインやメールで拡散させていただきます。ありがとうございました。
イ イェソル
2020年02月17日 14:54
染谷先生
こんにちは。ブログの内容と全然関係ないコメントで大変失礼します。
私の事覚えてますでしょうか?2013年~14年ごろにキリスト大学に交換留学生として在籍してたソルです。
いまは東京にある会社就職して東京都民4年目になりました。
今でも茨城方言がなかなか抜けられなく、取引先の方や職場の人に東北出身ではないかとよく間違われます。
先生も元気そうでなによりです。梅まつりかネモフィラが咲くごろに先生に会いにいきたいなーと勝手に思ってます。それでは近いうちにまたご連絡いたします

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