『男色大鑑』は永遠に輝く!(付・『男色大鑑』武士編人気度ランキング)

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(九州男児作「男色大鑑改・武士編6」(kindle版)の表紙(現在発売中!)。金沢一の若衆・野崎専十郎と竹嶋左善、そして今村六之進という三人の若武者の、情愛のもつれを描く名篇。九州さんの描く三人三様からは、武士の意気地と優しさと、そして儚さが溢れほとばしる。読者の心のリミッターは完全に振り切られるだろう)

昨日、Eテレで井原西鶴が特集され、『男色大鑑』が登場し、Twitterもちょっと賑やかになりました(私、染谷もちょっと登場いたしました)。

そのTwitterを瞥見しますと、さらに『男色大鑑』を読みたいけど、何がいいかとお考え中の方も居られるご様子。
それで、野暮は承知で、ちょっとご案内をさせていただこうかと思った次第です。

まずは、ここのところの『男色大鑑』人気の火付け役にもなりました、KADOKAWA (2016)のコミック『男色大鑑』武士編・歌舞伎若衆編・無残編の3冊です。

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大竹直子・九州男児・あんどうれいなど、若衆研でも活躍する漫画家さんたちが、そろって描かれています。『男色大鑑』は全部で40篇ありますが、その半分の20篇を漫画化しています。とにかく、読みやすく、分かりやすい。

それから、最初に掲げました、九州男児さんの『男色大鑑改』。kindleで陸続と配信中。とにかく描き方作り方が丁寧です。題目通り、原話の内容を「改」めていますが、原話の持つ世界を損なうことないばかりか、原話をさらに一段ブラッシュアップしてあり、『男色大鑑』の世界を知るにはうってつけの作品です。この点は西鶴や『男色大鑑』を40年読み続けてきた私(染谷)が保証いたしますぞ。

そして、若衆研が総力を挙げて出版した『全訳 男色大鑑』(武士編 2018年、歌舞伎若衆編 2019年、染谷智幸・畑中千晶編、ともに文学通信)。

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原話の内容を知りたい方は、ぜひこれをお読みくださいませ。
西鶴研究で活躍する若手研究者が、分かりやすさと面白さをモットーに現代語訳にチャレンジいたしました。それまでの学者風の肩がこるような文章とは一味も二味も違います。

また、大竹直子、九州男児、あんどうれい、紗久楽さわ、こふで、の5人の漫画家さんのカラーピンナップや挿絵も実に美しく鎮座しております。

そして、ここでぜひご紹介しておきたいのは、全訳の編者でもある畑中千晶さんの新本『これからの古典の伝え方ー西鶴『男色大鑑』から考える』です。

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(表紙の絵は、紗久楽さわさんの笹之介と葉右衛門。全訳に載せたものとは別バージョンとのこと!)

な、なんと、単に作品を読んで楽しむだけでなく「創作への欲望をかき立てる」内容とあれば、読後は、皆がクリエーターとして走り出すということなのでしょう。さぁ、たいへんだ、そのうち芥川賞か直木賞に『男色大鑑』ネタが登場する日が来るかも知れませんね。

4月になったら発売開始だそうですから、今から楽しみにしておいてください。
若衆研でも、このご本を取り上げて一度お祭りをやりたいと考えています。

ということで、一通りのご紹介をいたしましたが、最後に、2018年の8月に『男色大鑑』祭りを東京浅草で行いました。その時に、来場された約70名ほどの方に、『男色大鑑』武士編のどのカップルが一番心に刺さったか、アンケートを取りましたので、それを載せておきます。ご参考になるでしょうか。

この日の、男色大鑑 武士編(全20話)中の推しCPランキングは

1位 主水❤️半右衛門(巻四の四)
2位 主馬❤️義左衛門(巻三の五)
3位 小輪❤️惣八郎 (巻二の二)

となりました!

★★割り込み情報★★
それから、メガネさんの、『男色大鑑』私的萌え話も面白いですよ!

武士編 https://todoroki-megane.hatenablog.com/entry/edobl1908/
歌舞伎若衆編 https://todoroki-megane.hatenablog.com/entry/nanshoku1910/

是非ご覧ください。
★★★

ところが、じつは、このアンケートには、二番目の質問として、

『男色大鑑』(前半)中、最も、「分けわからん」「いけ好かない」「不気味な」ヤツは誰ですか。

というのもあったんですね。これ、今から見ても面白いので載せます。
以下、その結果報告とコメントです。アンケート総数71、( )内は票数。1票は省略。

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■「分けわからん」部門
1位 巻三の二・山脇笹之介(6)
2位 巻四の五・高岡川外記(5)
3位 巻二の三・丸尾勘右衛門(4)
4位 巻ニの一・一道先生(2)

■「いけ好かない」部門
1位 巻三の一・井関貞助(2)
1位 巻四の五・高岡川外記(2)
1位 巻一の四・半沢伊兵衛(2)

■「不気味な」部門
1位 巻二の三・丸尾勘右衛門(5)

■部門未記入(とにかく、いやだってことでしょうか)
1位 巻二の三・丸尾勘右衛門(3)

ということで総合成績は、

1位 巻二の三・丸尾勘右衛門(12)
2位 巻三の二・山脇笹之介(9)
3位 巻四の五・高岡川外記(7)

となり、栄えある優勝は、

  巻二の三・丸尾勘右衛門

とあいなりました。ぱちぱち・・
まあ、この勘右衛門は、川に流れた若衆三之丞の唾を呑んだ武士です。この唾呑み行為がやはりどうにもこうにも「不気味」なんでしょうね。前にもこのブログに書いた通り、女子と男子では、この行為に対しての反応がかなり違いますので、その内、紅白ディベートをやっても良いかも知れませんね。多勢に無勢といった感は否めませんが。。。

以下、感想で面白かったものを幾つか上げましょう。

●巻三の二・山脇笹之介: ツンデレっていうか、トンチキっていうか、程がある!!
●巻四の五・高岡川外記:死ぬべき
●巻一の四・半沢伊兵衛:下衆の鑑
●巻三の一・井関貞助:小者すぎる!

いやはや、すさまじい。こわい。

●巻三の四・田川義左衛門:三年見つめ続けるのはピュアすぎる、狂気と思います。
●巻ニの二・小輪:ごめんなさい、実は私にとっては気味悪いひとです。

この「ごめんなさい」は誰に向けてか。殿についても幾つかありました。

●巻二の二・殿:小輪に執着していて気持ち悪い。小輪の首を切った時「とんでもない事してくれたな」と思いました。

この「くれたな」がイイですね。殿と目線が一緒というか。。。

●巻三の二・五十嵐市三郎:笹之介と葉右衛門が契りを結び、誰が見ても仲良しやったのに、なぜお酒をすすめたのか。わざとか、わざともめさせるために盃をかわしたのか!

そこまでのワルじゃないと思うけど。。。
巻四の五は先生方の発表でも話題になりましたが、

●巻四の五:幼なじみのいいなずけの女子
●巻四の五、に出て来る・・・というより、その世界すべて

と世界そのものをバッサリ。これはすごい。またマイナーですが、こんなのも。

●巻三の四・茶道坊主松斎:人をそそのかして、人を殺そうと暗躍するような人物は嫌いです。

わたしも嫌いです!
それから、部門未記入のところで、

●巻一の二・大吉・新之助:二人の盛り上がりのために第三者をダシにするのは良くない

というご意見もありました。あんどうれいさんが聞いたら泣くだろうな。
また、「死んじゃダメ」部門をご自身で作られて、
  
●巻三の二・葉右衛門:死んじゃダメ!笹之介かわいそう

というのも。それからなんと、「わけわからん」部門に「西鶴」というのも1票ありました。西鶴先生、そう手放しでは喜べませんぞ。
そして、極めつけは、

●いません。みんな可愛い男子です。

いやぁー来ましたね。究極の愛ですな。こうでなくっちゃね。

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これを読んでつくづく思いましたが、また面会で、そして浅草で若衆研のお祭り、やりたいですねぇ、ほんとに!

染谷智幸(若衆文化研究会)

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